家族信託(民事信託)ー承継対策の決定打!

承継対策の重要性・・・こんなケースを紹介します。

 

西玉家の長男、一男さんが亡くなりました。妻の彩子さんとの間には子供がおりませんでした。

一男さんは先代から引き継いだ土地にアパートや駐車場を作っていましたので、彩子さんは生活に困ることはないと思っておりました。

ところが・・・・

一男さんの法要も終わって一段落したころ、一男の弟の次夫さんと光男さんが訪ねて、

「彩子義姉さん、元々、一男兄さんが持っていた土地は、わしらの父親が『西玉家代々の土地は長男の一男に継がせる。一男よ、西玉家の土地をしっかり守れよ』と常々言っていたので、父親が死んだときに仕方なく長男の一男兄さんがが全て相続し、わしらは相続放棄することに納得したんじゃ。一男兄さんには子供がいなかったんだから元々の西玉家の土地は、西玉家の男であるわしらが継ぐべきじゃ。自宅は勘弁してやるからアパートと駐車場は諦めろ!」と凄むのです。

一男さんが死んで助けてくれる子供もいない彩子さんは泣く泣く遺産分割協議書にハンコを押し、自宅は手に入れたものの、当てにしていたアパートと駐車場を失い生活に困窮したのでした。

さて、このストーリー、法律専門家である司法書士や相続人調査・遺言書・遺産分割協議書作成が出来る行政書士に相談していればどうなっていたでしょう。

①次夫さん光男さんが訪ねてきた時に相談していれば、法定相続分の説明がなされて、アパートと駐車場を全部取られることはなかったかも知れません。(彩子さんの法定相続分は4分の3、次夫さん光男さんの法定相続分は合わせて4分の1)

②一男さんが元気なうちに相談して、全ての財産を、彩子さんに相続させる内容の遺言書を作成しておけば、次夫さん光男さんに財産を取られることはありませんでした。兄弟には「遺留分」はありませんからね。

と、普通はここまででしょう。

しかし、一男さんの生前に次男さんや光男さんと腹を割って話し会っていれば、

「確かに、あのとき次夫と光男が黙って相続放棄してくれたから、自分は西玉家代々の土地を全部相続できたが、本来なら次男や光男も相続する権利が俺と同じようにあったんだよな。親父の気持ちも、西玉家の土地は西玉家の嫡男が継げばいいと言うもので、俺には子供もいないから、俺が死んだあとには次夫や光男が西玉家の土地を守るのが筋だよな。しかし、そうすると俺が死んだあと彩子の生活はどうしたものかな。」

と、思ったかも知れません。

何しろ、一旦彩子さんが西玉家代々の土地を相続してしまった場合、彩子さんが死亡すると、その土地は彩子さんの兄弟、再婚相手、前夫の子など、西玉家とは全く関係のない人に相続されてしまうのです。先代の意向とは全く違った結果になってしまうのは間違いありません。

そこで、力を発揮するのが『家族信託』(民事信託)です。

『家族信託』を活用することにより、

1、一男さんの死後は自宅は彩子さんが居住、アパートや駐車場の収益は彩子さんのものに。

2、彩子さんが死亡したあとは、自宅不動産、アパート、駐車場という西玉家の土地は全て次夫さんと光男さんのものに。

という財産承継が可能となります。彩子さん存命中は彩子さんの生活が守られ、彩子さん死亡後は西玉家の人間のところに西玉家代々の土地が帰って来るのです。

これなら一男さん、次男さん、光男さん、彩子さん全員が納得出来るのではないでしょうか。先代も草葉の陰で頷いてくれるでしょう。

『家族信託』、財産承継をお考えの方は元気なうちに一度専門家に相談されてはと思います。

民事信託で事前の対策をしておいたので安心です。